太陽の下で傘

Umbrella in the sun

笑ってくれない彼女は何者か

笑わない彼女、笑ってくれない彼女ことピープスくんのお姉さん。元々CSL2でも、パフォーマーおよび店側と客側の関係性や距離感などが謎に包まれたままでしたが、その客側の詳細を描かないスタイルが私はわりと好きでした。ショーステージを観ている間は私たちが客になり、また彼らの幕の裏での物語は個人の概念を無にして見られるのがとても心地が良かった。

でももうここまでシリーズ進むと笑ってくれない彼女のこと全然分からん! 分からね〜!!

(この記事は以前わたしが別のブログでまとめていた解釈・考察を2020年10月12日に転載したものです)

386問題

2の時点で何? 何なの? え? みたいなふわっとした感じが否めなかった(ぼかし)んですけど、AWで完全にハァ〜〜!?!?!!(オブラート)になってしまいました。

いろんなとこで言った気もしますがAW観終わってまず私が思ったこと、「笑ってくれない彼女はいったいなんだったのか」「キングが苦しんだ意味はなんだったのか」ですからね。日高屋で友人とお葬式みたいなテンションになってたんですよ。本当にきつかった。どうしてくれんだ(どうもしてくれないよ)

もう客席の大部分を占めるのは386ってのはAWで語られてしまったんで揺るがない事実だから仕方ない。原作で書かれたことが全てなので。じゃあ笑ってくれない彼女は? X-24-7のお客として、描かれたことがあるのは彼女だけです。

あとはエンドくんの元カノにX-24-7の招待状が届いてたっぽいけど彼女は結局来ていないし、あれが本当に元カノさんに届いたものなのかどうかも怪しいところ。遠藤を連れてきたジーズの策略という可能性も正直捨てきれません。私は基本的にキャラクターの語ることは、明確な嘘やごまかしでない限り信じたいタイプなので、ジーズさんの「私はちゃんと届けた」みたいな初演の台詞を信じたいよ*1

まあでもそれにしてもね。笑ってくれない彼女はお客として描かれているんですよ*2だから彼女は“お客”でないといけない。でないと2が成立しなくなるから。

笑ってくれない彼女が386だった場合

仮にX-24-7も386で、笑ってくれない彼女も386だったとしましょう。そうなるとクラブスレイジー2で描かれていた、ショーを途中で抜ける彼女とQとジーズのやりとりが丸々茶番になってしまいます。超好意的に解釈して、実際の観客である私たちを欺く壮大なトリック……と考えられなくもないですが、正直苦しいしそんなことはないと思います。

また、彼女の弟であるピープスくんの存在も揺らいでしまいます。他のミスティックの出自も不明な点しかないので家族などの存在も正直わかりませんが、彼女とピープスくんが姉弟であることは変わりません。そのため、この場合だとピープスくんはミスティックの姉を持っていたニュージャックになってしまいます。D兄弟と違いこの姉弟は店に入った時期がズレているので、ピープスくん自体が姉がミスティックだったことを知っているかどうかは微妙ですが……うーん、そっか。

元々スレイジーの外が出身のD兄弟だってまあ出自が不明っちゃ不明だしむしろ分かる人間がクラブスレイジーにいるのかっていうと……そうだねって感じなんですけど。そのなかでもミスティックってより人間味がないっつか人間か? みたいな……いや人間なんだろうけどさ……ミステリアスさが桁違いじゃないですか。だから元々ミスティックである姉を持つピープスくん、何者? になってしまう。私はそう思う。

う〜ん書いてて私もごちゃごちゃしてきたんでアレなんですけど。AWにおいて足跡を消す理由は「お客の正体がバレてしまうから」だったじゃないですか。それを2に適用すると笑ってくれない彼女も足跡を消されているので若干……ミスティック説が強くなる可能性が。若干。微々たるものですけど。まあたぶんこの当時はそんな設定じゃなかったのかもしれない。逆に当時からAWの設定があったならもう絶望しかない。

でもそもそも彼女の足跡消す消さないのくだりまじで2だけでも意味不明なんだよなあ。Qちゃん、キングに言われて「彼女の足跡は消しません」「キングさんが『消すな』と」とかジーズさんには言ったのに、キングがショーを途中で放棄して彼女を追い掛けた日には足跡消してる。ちょっと話それますけど、これ一体何なんでしょうね。QがQなりにキングを想って……とかなのかな。わからん。それともオッズが何かしらQに言って……はちょっと考えにくいかなあ。

笑ってくれない彼女の恋

彼女の正体が何にせよ、キングは彼女に恋をします*3。そして笑ってくれない彼女自身もキングに恋をするわけですが、ここで彼女が仮に386だったとするとちょっとした矛盾が生じます。

世界が変わるほどの衝撃を受けたの本当か!?!
こちとら初見で全く同じ状態だったしこの描写本当に大事にしたいのでそうじゃないと困る。

386ならそれまでだってレイジーやニュージャックのことだって見張ってただろうに、え、今!? このタイミング(キングがトップエースになった頃)で?! みたいになっちゃうんですよ。

いやわからん。彼女キングがトップ就任した頃に386になったから、キングのパフォーマンス観たことなかったのかもしれない。それなら仕方ないかもしれない。……これあんまりもう考えたくないんですけど……(逃)

でもミスティックならわざわざショーを途中で抜けてガーネットカードを得ようとする必要ないと思うんだよな〜だって監視役なんだから視ることが仕事じゃん……。わからん。

彼女の恋を否定するつもりは1ミリもないので頼む。(何を?)

アクトの発言について

もし純粋なお客(純粋なお客?)がいなかったとして、そうなると初演のアクトの台詞もはてなになってしまいます。初演でアクトは「(エンドのせいで)特等席に座る彼女に出会えなかった」みたいなこと言うじゃないですか。つまり彼は日々のショーステージでお客に“出会っている”という認識をしていることになります。
いくらなんでもそういう認識の人ならちゃんとお客の顔などを見そうな気もするし、これは2のものですが“シャーロック・ホームズの心の目”がトップエースの素質であるならアクトも持ってるのかもしれないじゃないですか。そんな人ならなおさら、その……分かると思うんですよ。見えると思うんです、客席が*4

つまり、386設定ってちょっとトップエースの素質への否定にもなりかねない気がするんです。“シャーロック・ホームズの心の目”は客席を観察する力、人の心を観察する力なのだから。

そう。それは心で見てないからだ。目では何度も見ているが心では見ていない。つまり、お客様の顔全てを、何となーくステージ上から眺めているだけ! シャーロックホームズと私なら! その席の数全ても、顔の特徴もどんな表情かも逃さず数える。
Zs, 「Club SLAZY The 2nd invitation ~Sapphire~」

だってトップエースたちというかレイジーおよびニュージャックたちって386のこと知らないはずだし、ミスティックたちは386を隠そうとしているんでしょ。気付いていないということはトップエースの素質のひとつへの否定。仮にトップエースたちだけは気付いているというのならそれはそれで……地獄じゃないですか? “little coolbea”じゃないけど、「俺たちは誰の為に歌うのだろう」状態じゃないですか。だって386は悲しみを抱えた女性たちではなく、自分たちを見張る監視役。誰の為に、何のために歌うのか。わからなくなってもおかしくない。

でもクラブスレイジーは彼らに与えられた“罰”なのだから仕方ないのかな……地獄みたいな話じゃん(そうだよ)

願わくばレイジーたちやニュージャックたちがその存在を知ることがないことを……特にクールビー*5……まあブルームやディープは知ってるけど……ディープはふわっとしか知らないみたいだし大丈夫かな……

X-24-7だけは386ではない場合

もはや願望なんですけど、お願いなのでこの席だけは386じゃなくあってくださいという感じ。まあX-24-7に座る女性からしてみれば、“自分以外周りの全てが店側の人間”というのも気付いてしまうとなかなかに怖い状況ではあると思うんですが……

現状で一応何とか理屈が通るというか矛盾が少ないのかなと思います……たぶん……なんかそろそろ考えるのきつくなってきた……


終わりに

何か長々と「頼む、笑ってくれない彼女は386ではない存在であってくれ」と祈るような思いで書いてました。でも決して386をdisる意図はないので許してください……

386が駄目とかじゃないんです。いや、私個人としては苦手(理由は冒頭に書いたとおり)なんですが、駄目ということが言いたいわけではないです。でも私にとってクラブスレイジーの起点は2なので、AW観たら真っ先に2のことを想ってしまったんだなあ。ただただショックだったことだけは事実です。

ほんと、お願いなのでクラブスレイジー2のこと、忘れないで下さいね。(何の話?)

*1:でも年末ライブでジーズさん、エンドくんに「私に連れてこられてよかったでしょ」みたいなこと言うんですよね。連れてこようとして連れてきたのか、たまたま連れてきたのか……でもジーズは賢いし……う〜ん

*2:クラブスレイジー2にAWの設定持ち込むのも酷っちゃ酷かもしれないですがAWで2をころさないでほしかったなあ。2がAWを考慮するのは難しくても、AWは2を考慮できるはずなので……これは私の願望です

*3:本当に恋であるかどうかは議論の対象なのでまた別に書きたいと思います

*4:何となくおわかりかもしれないんですが私はトップエース信仰が若干あるのでキングだけでなくアクトもめちゃくちゃプラスに評価しがち(トップエースに限らず基本的に全員へ好意的解釈ばかりしがちでは?)

*5:AW観終わった後もちろんキングのこともありましたけどクールビーのことも心の底から心配になってました。だって彼は“little coolbea”を歌っていたので……ショーステージの価値を誰より大事にしていると思ったので……