「フランケンシュタイン」
フランケン観てきました。すごい。その日の内(ではないけど)に感想書けた。あんまり感想じゃないけど。
このくらいすぐにアウトプットして記録しとけば流石に忘れない気がする。クラブスレイジーのときにもやっとくべきだったけど、あの時こんなすぐに何か書けるほどの精神状態じゃなかった。
今回は、小西遼生さんが観たいなぁと思いチケットを取りました。そして、柿澤勇人さんを観たことがなかったのでこの二人の日を選びました。
強い感情のやりとりを求めていたところもあった。めっちゃめちゃ楽しみにしてました。今年一発目の観劇だよ。あけましておめでとうございます。
ミュージカル『フランケンシュタイン』
2017年1月8日 18:00開演@日生劇場
CAST:柿澤勇人、小西遼生、音月桂、鈴木壮麻、相島一之、濱田めぐみ 他
脚本:ワン・ヨンボム
音楽:イ・ソンジュン
潤色・演出:板垣恭一
訳詞:森雪之丞
チケット:13000円(S席)
ジャンル:ミュージカル
感想と見せかけた解釈含むあらすじと、キャラへの感想
一幕
思いの外爆速。アンリがビクターに命を預けるほどにかたい友情を抱くまでの感情があまり見えなかった。ビクターがアンリを友人と思うのは……まあ。
アンリは戦場の軍医で、敵にも治療したために軍に殺されそうになる。それを救ったのがビクター。いわば命の恩人なわけだ。最初は生命の創造なんていう研究をするビクターに反発していたけど、彼の壮大な夢と、自信とに心を打たれ、研究に協力することとなる。
他人に理解されないビクターを、もしかしたらほぼほぼ、唯一といえるほど、理解していたのはアンリだった。
ルンゲすごいな。ビクターにもアンリにもキスされたね。日替わりかな(?) ルンゲがあまりにもコミカルで和んだけど、殺人容疑かかるところ前の日の酒代払わなかったからかな? とは思ってしまった。
ビクターは人としての気持ちや常識や倫理観がまるっきり無いわけではないから、自己の「イカれてる」部分まで自覚できてしまうのがつらいね。だって悩んだとしても、彼は人の道を選べないから。選ばないから。
ビクターの姉・エレンさんの過去回想は泣いた。『孤独な少年の物語』お母さんの死を認めたくないビクター、そしてあまりも天才だったビクター。お母さんを生き返らせたいと願う彼は他者に理解されず、虐げられ続けた。わかるけど、やっぱりわからないと思った。お母さんを生き返らすというのはあくまできっかけに過ぎず、ビクターは生命の創造主になりたかった、エゴの塊だった。
ビクターの罪を被り、ギロチンで処刑されたアンリ。
アンリが死ぬ前に歌う歌、あまりにもビクターに対する呪いか?と思った。『君の夢の中で』という歌か。そこまで心酔する(恋をしたなんてほどに言っていたので)のが見えなかったぶんあまりにもあまりにも呪いの言葉すぎた。
アンリの首を手に入れたビクター。アンリの首に口を寄せるようにして、大切そうに、大切そうに抱える姿。ビクターにはアンリを生き返らせる自信があった。
<アンリだったもの>が再び動き出した。もう二度と開かれることのなかったはずの瞳が、自分を捉える。喜びで満たされ、ビクターは<アンリだったもの>を抱きしめる。でもビクターは気づいてしまった。<アンリだったもの>は<アンリ>ではないことに。再び動き出しても、彼が彼たる存在でなければただの<怪物>。ビクターは<怪物>を殺そうとする。かつて自分を信じ罪をかぶってくれた友に、身勝手な許しを請いながら。
あまりにも、ビクターはエゴの塊だった。アンリと同じ顔を持っても、ふたたび動き出しても、ましてや自分が彼をそうしたにも関わらず、自分の意に反する存在となってしまった彼を認めなかった。ビクターはアンリを二度殺そうとしたと言っても過言ではない。
アンリの濡れ衣を晴らそうとする姿は見受けられたが、どうにも本気に見えなくて。人としての自己を守るために過ぎない弁明だった。
この辺は二幕で怪物自身が言及してくれたのでよかった!
生命の創造主になる……そう言いながら彼がしたことは友を死なせその新たな生命を再び死なせようとしただけだ。生命を尊いと思う気持ちとはまるで真逆の行動。でもそもそも、彼はこう歌うのだ。「生命など 陳腐なもの」(♪偉大な生命創造の歴史が始まる)
ビクターは責任を取らなかった。アンリだった存在が再び動き出したときは、あんなにも愛おしそうに「アンリ」と呼びかけ、抱きしめ、寒いだろうと自分のコートを与えた。しかしその存在は、ルンゲの首筋に噛みつき、彼を惨殺する。ビクターは態度を変え、鎖で絞め殺そうとする。急に殺意を向けられた怪物は怯え、鎖から逃れるため強い力をかける。絞殺に失敗したビクターは、<それ>に銃口を向けた。鳴り響く銃声。しかしとどめを刺せず、アンリだった怪物は、満月の下、窓からその姿を消す。
二幕
そういえば二幕始まった瞬間ジュリアが出てきて、「あっ、『ジュリアがビクターを好きな理由』と『ビクターは果たしてちゃんとジュリアが好きなのか』がわからないってさっき書き損ねた」って思いました。アンリとビクターの関係がメインすぎてジュリアなんもわからなかった。
あっあと一幕の最後……アンリがまだ生きてて、ビクターの罪を被って牢につながれてた時間軸の話だけど、ビクターには無条件に肯定してくれる存在、ルンゲとジュリアがいるんだ、すげーとなった。ルンゲは怪物に惨殺されてしまうんだけどね。怪物が生まれたその日に。というか、そうか。アンリ以外にも支えてくれる人、いたからか。
怪物を創造して3年が経って、ビクターとジュリアは結婚してた。すごいな、ビクターはまるで普通の人みたいな幸せを享受してる。
そこへ、ジュリアの父(名前忘れちった)(ステファン、らしいです)が行方知れずだという報せが。住人も総出で探します。ジュリアの父ちゃん市長だったらしい。
なかなか見つからない中、ビクターに話しかける人影がある。それは3年前に姿を消した怪物。
「喋れるのか!?」怪物も言ってたけど、3年ぶりの挨拶がこれか、って。そしてビクターは、<まるで普通の人間のように喋る怪物>に対して、「アンリ」と呼びかけた。「その名で呼ぶな!」あまりにも…あまりにも…
怪物は復讐しにきた、偉大なる生命の創造主様に。
怪物は語り出す、この3年の苦しみを。人間のおぞましさについて。
見世物小屋(闘技場)の主人夫婦に捕まった怪物は、そこで望まぬ闘いを強制される。焼きごてで肌を焼かれ、鎖に繋がれ、殴られ蹴られ。
強烈だったのは二幕の闘技場シーンから急に、性の匂いを感じたこと。過剰反応を起こしがち。私が。
ジャックが入ってきて、誰だろうこの綺麗な発声で強烈なキャラの人。そんな役者さんいたかなと思ってたら柿澤勇人さんだった。というか最初ジャックだって気付かなくって、柿澤勇人さんと気づいてからジャックだと認識した。別人だった。びっくりした。
ジャックはエヴァと夫婦なのかな。でもジャックは両刀……違うな。エヴァとはそうじゃなさそうだった。なんかそういうセリフ、エヴァがなんか言ってた気がする。ジャック抱かれる側っぽい。ぼかしながら言おうとしたらぼかせなかった。
怪物を調教するようなシーンでは、四つん這いになってる怪物の後ろからジャックが腰を押し付け突き上げるような動作をしたり、頭を掴んで自分に押し付けて「ほら咥えろよ」みたいなことを言っていて頭がショートした。耐性がない。
ジャックが怪物の着ていたコートから、ビクターの手記を見つけてた。それを読んだジャックは、怪物に呪いの言葉をかけ続ける。
お前は化け物だ、ゴミだ。お前は人間じゃない。お前に心なんかない、あってたまるか。
お前を作った基地外研究者は、尊い友人の頭を使ったんだそうだ。でもお前はゴミだから、捨てた。
ジャックは怪物という存在が人間として生きられる可能性をつぶした(自我というかそういった自己認識を)し、ビクターに対する憎しみを増幅させた。
怪物の記憶は創造主であるビクターに鎖で首を締められたところから始まっているみたいで、ジャックの言葉でより憎しみを増幅させてた。
そこへカトリーヌっていう奴隷のような扱いを受けている女の子がやってくる。カトリーヌは怪物に声をかけた。
「こわ、く、ない、のか」「だって人間じゃないから」
怪物はここで恋をする、生まれて初めての恋。カトリーヌもきっと怪物を好きでいてくれた。北極に行きたい。北極には誰もいないんだって。
でもそうじゃなかった。彼女は簡単に怪物を裏切った。自由を求めて。カトリーヌも虐げられていたし、一刻も早く自由に生きたかった。そのために甘い言葉に乗った。彼女には他人に慈悲をかけられるほどの余裕なんてなかった。
「そんな目で見ないで、この化物!」
カトリーヌに裏切られ、闘技場からも見離され、怪物は復讐するためにビクターの元へと戻った。
怪物の復讐は、ビクターから彼の大切なものをすべて奪うこと。行方不明になっていたステファンは死んでいて、その横にはエレンが気絶していた。ステファンの財産目録と凶器を手にして。
もちろんエレンは殺してない。でも市民たちは興奮しきって、もう誰もエレンの言葉には耳を貸さない。ビクターが追いついたそのときには、彼女は絞首刑となっていた。
こわいというか、どうしてこんなにもビクターにあたりが強そうな文章なのかというと、このあとの彼の行動のためなんだけど、ビクターはエレンの亡骸を研究所に運ぶ。あろうことか彼は彼女を生き返らせようとした。
装置を起動しようとして……気づく。すべてが破壊されていることに。
装置は怪物によって破壊されていた。ビクターは怪物に、自分を殺してくれと懇願する。怪物は「お前には生きて苦しんでもらわなきゃいけない」と言い、再び姿を消す。
「あいつは絶対にやってくる」と警備を固めるビクター。ジュリアを守るため、安全な場所で警備をつける。しかし聞こえてくる銃声。ジュリアの元へ駆けつければ、彼女はベッドの上で血まみれになり死んでいた。ジュリアを抱きしめ嘆くビクター。警備たちは皆周囲の捜索へ。ひとりだけ、部屋に残る者がいた。それは警備の制服を来た、怪物だった。
「おれは北極に行く。おれを殺したければ、来い」
北にやってきた怪物。そこで迷子の男の子に出会う。怪物はその男の子に、とある友人の話をする。そこの歌が好きだった……非常によかった。めちゃくちゃ泣いてた。曲名一覧見てもいまいちどれのことだかわからない。でもこれが一番好きな歌だったな。世界で一番美しい怪物だ、と思わされた。
北極にビクターはやってきた。怪物を追いかけて。ぼろぼろで、立つのさえやっとというような姿。彼の周りにはもう誰もいなくて、いるのは怪物だけ。
怪物は彼の世界に自分だけしかいない状態をつくりあげて、最後、彼自身に自分を殺させるのだ。すごいなぁ。なんという復讐だろう。親友と同じ顔をした怪物、自分の大切なものを全て奪った怪物しかいない世界。
胸元を広げてみせる怪物。銃口を向けたまま一向に引き金を引かないビクター。殺せないんだ、あんなに何度も死なせた存在を。
怪物はビクターに襲いかかるふりをした。反射的にビクターは引き金を引く。傲慢だ。自分の身が脅かされるとなれば、あんなに迷った行為をいともたやすく。
最後に一度だけ、怪物が……ビクター、と呼びかける。今まで一度も……怪物になってからは呼ばなかった名前で。まるでかつての親友のように。なんという呪いだ。親友を、まさに、この手にかけてしまったようで。今度こそ、自分が、親友の息の根を。
倒れた怪物に慌てふためいて駆け寄るビクター。頭をひざの上に乗せ、手をにぎる。アンリ、だなんて名前で呼んで。誰にも届かない慟哭。
ビクター
どこまでいってもビクターは傲慢だった。あまりにもエゴイズムの塊だった。自分の理想のためなら友情を利用できる。利用したつもりはなくても、それはそう思い込んで自分を慰めたいだけ。生い立ちは悲劇だが、それだけでは覆い隠せないほどの歪み。ジュリアとの束の間の幸せ。でも根底にはアンリ……アンリだった存在、怪物の存在があった。探しても探しても見つからない怪物に怯えながら生きてた。生命の創造主となり神にすら打ち勝ちたい。チープな言葉になってしまうが狂っていると思った。人であるのに人としておかしくて、でも人であるから人としての幸せを享受することだってできた。怪物にはそれができないのにね。正直ほとんど感情移入できないほどの傲慢さ。なんかめっちゃビクターのこと嫌いみたいになってますけどすごくよかったですよ。
アンリ
生命に対して絶望してるような様はあんまり感じなかったなぁ……それよりビクターに気がついたらめちゃめちゃ入れ込んでて(?)殺人を犯したビクターの罪を、コンマで判断して被ったのがすごい。いつの間にそんな簡単に命を差し出せるほどになってたの。悪い人じゃないんだけど感情移入できなかった。語られる速度と長さの問題だと思います。爆速だった。しょうがないかもしんないけど。「君の見せてくれた未来はここで終わるけど あの時君に出会わなければとうに終えていたこの人生 君の夢の中で 君の作る新しい世界の中で生きよう」(正確ではないです)そんなこと言えるほど強い感情を向けていて、端的に言って泣きました。感情移入できなかったとか文句言ったけどめちゃめちゃ泣いた。あとパンフレットの小西さんアンリが過剰表現でなく天使のようで、儚く綺麗だった。
怪物
いちばん感情移入できたのは彼です。わりとずっと泣いてた。カトリーヌに出会った時、まだ言葉がたどたどしくて。幼い子どものようで、カトリーヌとくすぐりあって笑ってた、あの光景が焼き付いている。怪物があんなにも心から笑顔でいられたのは、あの時だけだった……。
なんというか、この作品で一番強い感情のやりとりがあったのは、怪物とビクターだと思う。怖れ、憎しみ、そういう感情。ビクターは最後の最後まで怪物から目を背けられなかったし、怪物は創造主ビクターへの復讐こそが意味だった。怪物を最後まで動かした、というか最後に動かしていたのは、復讐という義務だったようにも見えた。ビクターにもらった最初で最後の物、ビクターの上着だけはずっと持ってた。着てた。闘技場で取られても、ビクターの元に姿をあらわすときには着ていたんだものな。怪物は最初から最後まで、ビクターのための存在だったように思う。死に際、ビクターに一番強烈に自分を<刻みつけた>。創造主に決して消えない、深すぎる傷を遺していったんだからすごい。ビクターはきっと死ぬ最期の瞬間まで、怪物のこと忘れないだろうね。あとめちゃめちゃ美しいと感じた。公開されてるビジュアルや、フォトブック、パンフレットでもそうだったけど。舞台上で生きている怪物が、あまりにも、美しい。
休憩と帰路でがーっと書いただけなのできっと嘘もいっぱいある。