太陽の下で傘

Umbrella in the sun

MIU404 #11 <<  >>

最終話ドドド・ネタバレ。またぐちゃぐちゃと書きます。読み返してもないぞ!
まだ2回しか通して見てない。

TBS金曜ドラマ「MIU404」

脚本:野木亜紀子
音楽:得田真裕
プロデュース:新井順子
演出:塚原あゆ子、竹村謙太郎、加藤尚樹
www.tbs.co.jp

主題歌:米津玄師「感電」

感電

感電

  • 米津玄師
  • J-Pop
  • ¥255

わたしは星野源さんが好きです。母親の影響で、確かSUNが流行る少し前。楽曲を聞かされた記憶がある。
そこからよく家族の中で話題に上がるようになって、楽曲は確実に追いかけていたし、役者として活躍されているものは母が必ず拾って見ていました。
わたし自身は逃げ恥をきちんと見てはいないですが、母は星野源野木亜紀子のタッグに非常に喜んでいるようでした。
わたしも星野源さんと綾野剛さんが好きだったので、じゃあ気が向いたら見るか〜くらいだった。

1〜3話はスマホをいじりながらなんとなく観ました。
4話はリアルタイムができず、そこから録画が溜まってしまい見る気が起きなかった。たった1時間なのにテレビに向き合うことができなくなっている!
確かその頃に母はアンナチュラルを見始めて(わけあって見ることを避けていたけどMIU404にハマったため決意した)、たまたまわたしも一緒に観たんですよ。で、出会った。

中堂系。
好きそうでしょ? 好きです。中堂さんに一目惚れした。そこから徹夜、アンナチュラルを1日で全話観た。終盤はずっとティッシュボックス抱えてゴミ箱と共に鑑賞した。夜中にひとりで一気見するものではない(最高の体験でした)。

アンナチュラルを観て、「アンナチュラル観ずにLemonをイメソンにするな」という"そちら側"の厄介なオタクになったところで、MIU404にもわたしは向き合うべきなのではという気持ちがめきめき湧いてきた。

Lemon

Lemon

  • 米津玄師
  • J-Pop
  • ¥255
とりあえずってことで、MIU404の4話「ミリオンダラーガール」を流し見していた。そこで志摩一未にオチた。
テレビにかじりつくようにして2日間、夜ふかしして1~3話の復習と4~8話を視聴。
無事9話からリアルタイムに追いついたので野木さんのTwitterをフォローしたり、#MIU404イラスト企画のタグを追ったりした(野木さんがRTしてるものとか)。
最終話をリアルタイムできて幸せでした。見るべきドラマだった。

タイトルリスト

話数 放送日 タイトル メモ
#1 6/26 激突 ──
#2 7/3 切なる願い 走る人質監禁立てこもり
#3 7/10 分岐点 成川岳
#4 7/17 ミリオンダラー・ガール 青池透子
#5 7/24 夢の島 同時コンビニ強盗
#6 7/31 リフレイン 香坂
#7 8/7 現在地 ジュリ
#8 8/14 君の笑顔 ──
#9 8/21 或る一人の死 ──
#10 8/28 Not found ──
#11 9/4 ゼロ <<  >>

個人的には「ミリオンダラー・ガール」というタイトルが一番好きですね。
4話が本格的に見始めたきっかけというのもありますが、青池透子の最期がとっても胸にずっしりきた。
あと4話の志摩の、銃を額にあて言うあのシーンで……その……志摩一未という男にオチてどっぷりになったので……4話は思い出深いね……
なんか又聞きなんですけど(母から)米津さんもどこかで同じシーンが好きとおっしゃられてたと聞いてめちゃくちゃウケてしまった。いいよね。

伊吹藍と志摩一未

伊吹藍(綾野剛)と志摩一未(星野源)。わたしは志摩推しなので多少偏りはありますが、二人ともまるごと好きです。

公式サイトの綾野さんと源ちゃんのインタビュー読みました? 線引いて朗読したいくらいものすごい熱量と愛情と、彼らを現実として向き合ってきた役者だからこそ答えられる内容で素晴らしかった。
インタビュー|TBSテレビ:金曜ドラマ『MIU404』(2020年9月5日現在、綾野さんのインタビューページに飛びます)

これね。
綾野さんの言葉の中でわたしが首がもげるほどうなずいたものを挙げるとするならこれかな。

Q.志摩という相棒ができたことで、伊吹に変化が生じたと思う部分はありましたか?
伊吹の根底は変わっていません。太陽が大きく変化しないように、伊吹はずっと伊吹なんです。(中略)志摩は伊吹が変わるための材料ではなく、新しい想いや感情を生み出してくれた大切な人。(中略)だから変化ということではないんです。何かを得る時に何かを捨てない。恐ろしい程の足し算で、精神キャパシティが海のように広い。(中略)月のように満ちたり欠けたり変化するタイプではなく、どこから見ても同じように見える太陽みたいな人。昇るか沈むかだけ。(後略)
公式サイト インタビュー Vol.10 伊吹藍役 綾野剛 より

全文最高なのでぜひ公式サイトで読んで欲しいのですがなんとか一部引用させていただきました。
伊吹は太陽。太陽は変化しない。何かを得る時に何かを捨てない。
これだーーーーーーっ!!!!これ ほんとに。
伊吹って全部"自分ごと"として受け止めようとしてくれてるししてる気がする。
伊吹っ、太陽……ハァ〜〜〜〜〜マジか(クソオタク語彙)
太陽の概念を演じた役者から持ち出されてもう拝むしかない。それそれそれそれ 他にオタクが語るべき言葉はない。真理。

Q.ここまで伊吹藍を演じてきた感想をお願いします。
(前略)金曜の夜にこの作品を見て次の日の朝が少しでも魅力的になっていたら。(後略)
公式サイト インタビュー Vol.10 伊吹藍役 綾野剛 より

ここがとても素敵な表現で、好きです。
先ほどの伊吹は太陽、ということをふまえるとうまく言語化できない感情があふれて胸をうずまくような感覚になりました。
愛だな。

インタビュー|TBSテレビ:金曜ドラマ『MIU404』(2020年9月5日現在、星野源さんのインタビューページに飛びます)
またこちらのげんちゃんのインタビューではここが印象的でした。

Q.志摩にとっての伊吹の存在とは?
(前略)最初は2話までしか台本がなくて、物語がどうなっていくのか分からなかったのですが、僕自身は1話の伊吹に良さを見出すのが難しかった。だから志摩は人を見る目があるなと思います(笑)。
公式サイト インタビュー Vol.11 志摩一未役 星野源 より

ほんとにね。最初の伊吹はほんときつかったね。でもそんな伊吹に最終的にはこんなに救われるとは思ってもみなかったよ。志摩はすげえよ……

Q.印象に残っているシーンを教えてください。
ハムちゃんを井戸から救出するシーンですね。(中略)「エトリを捕まえてハムちゃんを自由にする」という桔梗さんの悲願や、相棒の香坂の死に間に合わなかった志摩の、「今回は絶対に間に合わせる!」という強い思いが叶った瞬間でしたね。その中で、恩人のガマさんが逮捕されてぶっ壊れそうな伊吹を支えながら手綱も握らなければいけないという大変さもありました。九重も成川を救うことができて、いろいろな物語がピークに達したシーンだったので、より一層集中して演じられた気がします。
公式サイト インタビュー Vol.11 志摩一未役 星野源 より

"恩人のガマさんが逮捕されてぶっ壊れそうな伊吹を支えながら"
これ。もうお二方の言葉を指し示すことしか私にはできてないけど、本当にもう、まさにそれとしか言いようがない。これ以外のこのお答えも全部線引きたい。全部テスト出る。

いや役者のインタビューってほんと好きなんですよ。お芝居で伝わってきたこと、ていうかわたしが受け取ったことがちゃんと合ってたな、って嬉しくなったり。
もちろんわたしが全く気づかなくて「そうなの!?」ってなることもある。楽しいよ。

#11 ゼロ

最終話を心に刺さったセリフごとに勢いで振り返ります!
記憶で書いてるから間違ってたらごめんなさい! あとで追記して直します(たぶん)

「あの井戸の底を思えば」
「うちから嫁に行ったっていいし……」

ここは桔梗さんとはむちゃんの絆の集大成って感じで素晴らしかった。家族だよ……

「じゃあ殴り返せよ」

この伊吹に対して志摩は「……結構です」って。離せよって、伊吹とぶつかることすらしない。
これ、#4のミリオンダラー・ガールの例の銃のシーンと同じ構図なんですよね。あの時も志摩は「離せよ」って、伊吹の差し伸べた(差し伸べてはないな……)手から逃げた。
さっき久しぶりに4話見直してオワーーーーってなってた。

「……おい、伊吹起きろ」

「起きろ!!!」ここの構図最高でしたね。画面。

「目が覚めて、俺が死んでたら……俺の相棒は……」

この志摩の悪夢と、伊吹の悪夢ね。

「ころすな」って、聞こえるか聞こえないかの小さな声で、でも伊吹の腕を確かな最期の力を振り絞って止めてる。これを伊吹の悪夢だとして(自分が主体じゃない夢って見にくいかな……と個人的には思うので、それぞれがメインで動いていたIFをそれぞれの悪夢とします)、そのなかでも最後まで自分を止めてくれる人、っていうのが志摩なのがよかったな。
逆にいえば弱点にもなりうるわけだけどね。伊吹という人間の境界線、スイッチに志摩はなった。
できなかったことではなく、できたことを数えろ。みたいなことをどこかで陣馬さんが言ってた記憶がある。
このシーンは「伊吹はこの状況になったら、踏み越えてしまうのだ」とも読めるけど、現実そうはならなかった。ならなかったことを喜びたいと思うよ。

「陣馬さん。早く食べないとうどんの館みたいになっちゃいますよ」

うどんの館。かわいかった。
このあとのシーン、たぶん一番泣いた……顔面配備でやっぱり笑うのに、もうそれが一番こう、心にきて。
早くあれが見たいなって。陣馬さんの元気な姿が見たい。ただ目を覚ましてくれるだけでもいい。九ちゃんの心境にものすごく共鳴してしまって胸が締め付けられた。

そしてこの奇跡が、伊吹と志摩の運命を再び巡り合わせたような気がします。
九ちゃんの送ってきた陣馬さんの写真を見て、志摩が今までに見たことないくらい顔をくしゃりと歪ませて、泣きそう(もう泣いてる)に喜んでるんですよ。もう耐えられませんでした。

ちょっと戻りますけど、あの船の部屋で目を覚ました伊吹が、あの最悪の悪夢の中では死んでしまっていた「志摩」の姿を見て、ものすごく目を見開くんです。
さっきとは違う光景が目に入っている。ここは志摩が殺されて、自分が道を外れた世界では、ない。
悪夢から目覚めた時、伊吹泣いてるんですよね。2回目に見た時に、涙が一筋見えました。もう無理なんだけど。これ書いてて無理になってきた。

今これ9/5なんですけど、昨日見終わったあとずっと感電やサントラ聴きながら気持ちを完全にMIU404に持ってかれちゃっててマジで眠れなかったんですよ。いや無理。
よかった。あの悪夢の最中、こんなところで二人が終わるわけないって確信していたけど、ほんとにつらくて祈るような気持ちで見てた。ほんとに、よかった。

「ペアルック?」

メロンパン号の後ろの扉を開けて、おそろいの「I♡JAPAN」Tシャツに着替えて乗り込んでくる志摩と伊吹。いやかわいい。
めちゃくちゃかわいくてもうわりとベショベショにやられてるなかで泣きながら笑ってしまった。

「テンション上がってきた〜〜〜〜!!!」
「俺は上がらない」

これだよ〜〜これこれ!! これが見たかった!!!!

"伊吹藍"

伊吹藍

伊吹藍

これセリフじゃなくてサントラなんですけどね。

最終回終わってからMIU404のオリジナルサウンドトラックをApple Musicで聞いて知ったんですけど、この曲"伊吹藍"って言うんですね……
主人公の名前がついた曲。ずるすぎる。"志摩一未"もあるんですよ。あとアンナチュラルにも"ミスミミコト"があります。

そもそも劇伴が全部……全部かっこいい。かっこいいだけじゃなくて、エンディングを迎えて、曲を聞いてみると情景が思い浮かぶんですよ。
糸口を掴んで、伊吹が走り始める。どこで流れてた曲なのか、ちゃんと覚えてる。すごく耳に残っている。

「望み通りの世界だな」

久住の背中越しに見える、屋形船の中という狭い狭い世界は、最悪なほどに鮮やか。楽園のようにも見える。
それはまぎれもなく彼がつくりあげた世界で、誰も内側に入れてこなかった男は自分の世界にすら取り残された。
この回の中でもMIU404全体の中でも特に印象的なカット。画面が頭に焼きつく。

「許さないから、殺してやんねー」
「生きて、俺たちとここで苦しめ」

ここでのこの言葉のチョイスが。許さないから、殺さない生きて。俺たちと、ここで、苦しめ。
殺さないし、死なせない。これを、それぞれをこの二人が言うことに意味がある。
いや野木さんの脚本って"それ""だれ"が言うかってことにめちゃくちゃきちんと意味づけしてるのでもう全部そうなんですけど特にここがね。ここ。これよ。
わたしには線引いて繰り返すことしかできね〜〜〜………………勝てねえ〜〜〜〜!!!!(争ってない)

そしてこのときの、久住ですよ。
今までの久住ってすごい "大人"で恐ろしい目をしていた。人間じゃないんだよ。
でもこの時。
志摩に顔に触れられ、額の痛々しい傷にタオルをあてられているとき、膝をついて見上げるその瞳は、どこまでも真っ黒で何も見えないようでいて、どこまでも澄んでいるまるでこどものそれのようだった。
何も映していないのに、何にも侵されていない無垢さすらあった。
菅田くんってすごく不思議な役者さんですね。久住を演じるのは彼しかいないって思える。

「おれは お前たちの物語にはならない」

はいこれ!!!!!!!!!
わたしがこの話の中で、最も心に刺さったセリフ。もしかしたら全体通してもこれが一番かも。

病室にいる久住──男はゆっくりと、両の掌で自らの顔を覆う。
それは表情も、心情も過去も何も見せないための鎧にも見える。誰も内側に入れないための壁のよう。
声色からも何も読み取らせず、何も残さない姿は、決して自らを誰の想像や願望や感情で歪ませてたまるものか、という決意だけが感じられた。

どうしてこんなことを。ああなるほど、そんなことがあったから。だからお前はそうしたのか。

……そんなふうに理解されてたまるか。人は自分の理解したいようにしか理解することができない。
お前の頭の中で勝手におれを創るな。分かられて、たまるか。



普段、わたしはたくさんのフィクションを消費して生きています。今も。
人の経験してきたこと。思ったこと。やってきたこと。それらをつなぎ合わせた物語を愛している。
いつから意識し始めたか忘れたけど、消費する責任というか、自覚が必要だとわたしは思っています。
消費という罪を犯しているとすら思っている。わからん。罪って表現がふさわしいのか。あくまでわたしの体感の話。

だからお前たちの物語にはならない、というセリフが余計刺さったのかなと。
誰にもおびやかされたくない自分の物語って、感情ってあると思うので。

でも伊吹の「わからない」、知りたい、分かりたいって気持ちも分かるんだ……
おびやかされたくない人のその想いは守られるべきだから、それは尊重したい。
……う〜〜〜〜!!!!!

ただ最後で、久住のバックグラウンドと、久住のやったこと(事実、まあ直接手を下しているわけではないので事実という表現もアレだけどね)を結び付けて勝手に何か納得しようとする行為が排除されててすごく、すごくよかった。よかったのかな? よかったと思う。
久住を絶対に憐むものか、と思う。それはわかった気になっただけだと思うから。